原因不明の滑膜炎を主病態とする疾患であり,対称性小関節での発症を特徴とする。しかし,近年は65歳以上で大関節を中心として非典型的症状で発症することも多く,他疾患の除外を行った上で早期診断と早期治療介入が行われている。
6週間以上持続する関節炎,炎症反応陽性で血清反応(リウマチ因子または抗CCP抗体)陽性の場合には強く疑う。この際に,他の膠原病や感染症を含めた関節炎をきたしうる病態を呈する疾患の除外が必要不可欠である。血清反応が陰性である場合には,脊椎関節炎をきたしうる疾患の存在を念頭に置くことが重要である。
確定診断後にメトトレキサート(MTX)の投与を開始し,治療反応がみられる場合には副作用に注意しながら,可能な限り16mg/週までの増量を試みる(実際は12mg/週までのことが多い)。MTX開始後3カ月目に十分な治療効果が得られない場合には,MTX併用のもとで生物学的製剤またはJanus kinase(JAK)阻害薬の投与を開始し,可能な限り寛解を治療目標とし,合併症などを有する症例では代替的目標として低疾患活動性をめざす。経済的負担が大きい場合には,バイオシミラーや2剤目の合成抗リウマチ薬の追加投与を行う。
やむなく治療初期でのステロイド投与を行うことがあるが,3~6カ月以内に漸減・中止を原則とする。ステロイドが中止できない場合には他剤を追加した上で投与中止することが原則であるため,患者に対してその旨を念押しする。
MTXは有効な薬剤であるが,骨髄抑制,肝腎機能障害,間質性肺炎,消化器症状,口内炎等々,副作用が少なくない。わが国では,MTXに伴う医原性リンパ増殖性疾患が多く報告されており,上記の臓器障害以外にも悪性リンパ腫の既往がある患者では避けるべきである。間質性肺炎は,関節リウマチの活動性に伴って出現している場合には疾患制御が重要であるため,一概に間質性肺炎の存在をもってして投与回避すべきでなく,臨床的判断が重要である。生物学的製剤とJAK阻害薬はきわめて有用性の高い薬剤であり,長期的には身体機能障害の抑制,社会的生産性に貢献することから,長期的視点で治療の必要性を説明し,患者とともに治療方針を決定するべきである。
活動性感染症の存在下ですべての抗リウマチ薬を中止することは,疾患活動性増悪のリスクが高く,生物学的製剤とJAK阻害薬の投与を中止した上で,MTX継続の可否を判断する。周術期を含めて一般的にMTXは継続投与することが多い。挙児希望や妊娠中の女性では多くの抗リウマチ薬が禁忌となるが,生物学的製剤とカルシニューリン阻害薬の継続投与は可能であり,やみくもに投与中止やステロイドへの変更を行うべきでない。
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