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【匠が教える東西医学部傾向と対策 其の弐〔関西編〕】学習の積み重ねはもちろん変化に対応できる力を養おう[日本医事新報特別付録 医学部進学ガイド「医学部への道2024」]

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登録日: 2023-03-01

最終更新日: 2023-03-01

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私立医大・医学部入試の特徴は「多様な出題形式」。大学入試改革の影響によってマーク・穴埋め形式から突然全問記述式に変更したケースも珍しくない。各校の傾向を把握し対策することは重要だが、同時にどのような出題形式にも柔軟に対応できる力を身につける普遍的な学習が肝要であることを意識しておきたい。関西の主な医大・医学部について、1982年の創設以来、関西トップクラスの合格者を輩出し続けている医学部進学予備校メビオが解説する。
(日本医事新報特別付録・医学部進学ガイド「医学部への道2024」の全文はこちらから無料でダウンロードできます)

大阪医薬大

英語▶昨今の私立医学部では珍しい記述のみの問題構成。国公立医学部受験者が併願する傾向にあり、答案に求められる完成度は非常に高い。

数学▶全問記述式なのでしっかり説明する訓練が必要。証明問題など、本質的な数学力が試される差のつく出題が多い。2022年度は問題がやや難化。

物理▶標準〜やや難レベル。分量が多いので実力の底上げを地道にしていく必要がある。同じテーマの問題が繰り返し出題されるので過去問による対策は有効。

化学▶2科目120分で例年通り大問4題の出題。難易度は2021年度と大きく変わらなかった。大問Ⅰや大問Ⅲは過去に出題された問題と非常に似ており、過去問対策が有効だった。

生物▶全体的に非常に取り組みやすい出題で高得点勝負。教科書内容は細部まで理解を深めておくこと。論述問題は解答欄が狭く、要点をまとめる練習が必要。

関西医大

英語▶前年度同様すべて長文形式。2022年度は一部の設問に関して受験レベルを超えた設問もあり、難易度は上がっている。説明問題の分量も年度によって変動が大きい。

数学▶記述問題が増えたが、依然として論証力よりも計算力を必要とする傾向が強い。頻出分野は、微積分・確率・数列・幾何的問題など。

物理▶公式導出のような理論の問題が少なくなり、グラフ描図、グラフや表を読み解く形式の問題が増え難易度が上がった。

化学▶大問4題、大問によっては小問一つ一つが独立している形式に変化なし。全体的に解きづらい問題が多く、難易度はやや上がった。

生物▶全体的にかなり取り組みやすい良問になった。ただし、条件付きの解答形式などの特徴は残っているので、過去問などで事前に慣れておくとよい。

近畿大 医学部

英語▶前半の語彙に関する設問では、受験レベルを超えた設問もあり、幅広い知識が必要である。その意味では後半の長文3題でしっかり得点することが求められる。

数学▶前期の感染モデルに関する長文問題が目新しかった。頻出分野は数列・図形・数Ⅱ微積など。記述力だけでなく、空所補充で確実に得点する計算力も必要。

物理▶主に空所補充式の問題だがグラフ描図も複数あり作業に時間がとられる。比較的取り組みやすい問題を優先し手早く解答していく必要がある。

化学▶形式面での変化はなし。例年通り計算量が多めであったことに加えて、受験生に馴染みの少ない知識問題が出題されていたりと内容的には難化。

生物▶傾向はとくに変化なし。例年通り、知識系の論述問題を手早く処理できる練習をしておくことが対策として有効だろう。

兵庫医大

英語▶記述式のオーソドックスな良問。長文内容はライフスタイル、医療全般など多岐にわたる。記述力の有無が大きく得点に響く傾向にある。

数学▶昨年度と同様、大問の難易度は高め。解答の方針が立たない受験生も多かっただろう。記述を重視する方向にあり、証明問題も見られるようになっている。

物理▶他大学と比較して論述問題や描図問題が多く、典型的なグラフや論述問題に関しては手早く処理できるようにしておきたい。問題全体の分量も多いので要領の良さも必要である。

化学▶形式、難易度ともに大きな変化なし。典型題を経験的に解けるというだけでは太刀打ちできない問題が多いので、問題形式にとらわれず解けるよう思考力を養っておくようにしたい。

生物▶とにかく論述問題の分量が多く、例年合計で400~600字程度(小論文1本に相当する分量)になるため、精度を少々犠牲にしてでも手早く処理できるようにしておくことが必要である。

藤田医大

英語▶前半がマーク式、後半が記述式。記述式長文は、国公立大二次レベルで、思考力・記述力が求められる。マーク式の大問は標準レベルでしっかり点数を稼ぐ必要がある。全体として実力差の出やすい問題である。

数学▶マーク形式の小問集合は設問が10個程度あり、処理力で大いに差がつく。記述形式の大問2問は本格的で、数学Ⅲの微積分や場合の数・確率が頻出。基本定理の証明が目立つのも特徴的。

物理▶全般的に難易度は高く、受験生が見慣れない問題や計算量が多い問題を出す傾向が強い。解答時間に対して作業量が多いため標準的な設問を優先的に解いた方が正答率は上がりやすい。

化学▶前期・後期とも大問の数は5~6題と分量はほぼ一定している。難易度としては全体的に標準レベルの出題が多いが、傾向として有機化学の分野で差が付きやすいレベルの出題がなされやすいのが特徴。

生物▶まず、年度によっては10題近くある「簡潔に記せ」という論述問題(20字~40字程度)を手際よく処理することが重要。また、いわゆる「パターン」では対応しにくい出題が増えているため、基礎知識を問う部分で確実に得点しておきたい。

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