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随時トリグリセライド(TG)値を診療に生かすコツは?

No.5162 (2023年04月01日発行) P.50

石垣 泰 (岩手医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

塚本和久 (帝京大学医学部内科学講座教授)

登録日: 2023-03-30

最終更新日: 2023-03-28

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  • 2022年版の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは随時トリグリセライド(triglycerides:TG)値の基準が設定されましたが,これまでTGは空腹時採血で評価するものだと言われてきたため,戸惑っている医師も多いと思います。随時TG値が設定された根拠や管理すべき理由を示したエビデンスなどを教えて下さい。また,可能な範囲で薬物治療の考え方についてもご教示頂ければと思います。
    帝京大学・塚本和久先生にご解説をお願いいたします。

    【質問者】石垣 泰 岩手医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授


    【回答】

     【高値の場合は,その原因となる生活習慣の改善を指導し,それでも高値が持続する場合に薬物療法を考慮する】

    高TG血症は,動脈硬化惹起性のレムナントリポ蛋白,LDLの中でも特に動脈硬化惹起性の強いsmall dense LDLの増加,そして低HDLコレステロール血症やメタボリックシンドロームと関連することが多い病態です。

    従来のガイドラインでは空腹時TG値のみを脂質異常症診断基準・管理目標値に提示してきましたが,わが国で行われたCIRCUS研究(サークス,Circulatory Risk in Communities Study)をはじめ,数多くの国内外の疫学研究から空腹時TG高値のみならず随時TG高値も冠動脈疾患および脳梗塞のリスクとなることが報告され,また随時TG値のほうが空腹時TG値よりも強いリスクであるとする論文もいくつか報告されています。

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