糖尿病は主に1型糖尿病と2型糖尿病があるが,1型に対する運動の意義は2型とは異なる点が多く,ここでは2型に対する運動療法の指針を述べる。
運動療法の中心は歩行運動であり,歩数を目安にして指導する。レジスタンス運動は血糖改善とともに筋量の増加が期待できる。
2型糖尿病の治療において,運動療法の血糖降下に関するエビデンスは確立している。その効果は主に骨格筋におけるインスリン抵抗性の改善作用に基づくと考えられている。また,運動はこれ以外にも,脂質代謝異常,血圧,動脈硬化症に対しても有効であることが明らかとなっており,食事療法とともに積極的に患者に対して導入する。
運動前のメディカルチェックについては,主に通常行っている合併症の状態の把握を行う。空腹時血糖値が著しく高い場合(250mg/dL以上),増殖網膜症による新鮮な眼底出血がある場合,腎不全の状態にある場合,虚血性心疾患や心不全などがある場合は,注意が必要である。心疾患合併症のチェックには,安静時心電図と症状の有無のチェックが第一に必要である。症状がなく,かつ,行う運動が軽度から速歩程度であれば,一般的に運動負荷心電図などのスクリーニングは不要であることが示唆されている1)2)。
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