日本医師会の横倉義武会長は9日の会見で、政府が検討するとしている特区内の医学部新設について「改めて反対する」と述べた。
横倉会長は反対の理由として「教員確保による地域の医師不足への懸念」のほか、「近年の医学部定員の増加により2020年には必要医師数が充足される」「診療能力の確かな医師を養成するまでに最低でも10年かかる」─などを挙げ、医学部新設の問題点を指摘。さらに新設先として有力視されている千葉県成田市の地元医師会が新設に反対していることを紹介し、「医師不足は地域偏在の問題。(都道府県の)地域医療支援センターと医師会が連携して適正配置に努める」とした。
会見ではまた、中川俊男副会長が政府の規制改革会議が提案した「選択療養(仮称)」制度に対し「到底容認できない」と反対を表明。中川副会長は同構想に対し「安全性の視点がない」「保険外併用を認めた行為で副作用が発生した場合、その治療費は公費から支給されるので被保険者間で不公平が生じる」などと問題視した。
これに加えて、規制改革会議が求める国内外のドラッグ・ラグ解消について「国内の承認速度は年々上がっており、製薬企業が薬事申請を迅速に行わないことが原因」と指摘。「国は選択療養の導入より(ドラッグ・ラグ解消に向け)製薬企業に指導すべきだ」と述べた。