胃切除によって発生する医原性の疾病および病態を総称して言う。発生頻度は25~40%(重度のものは5~10%)とされており,多様な臨床像を呈する。
①器質的障害(逆流性食道炎,胆石,吻合部潰瘍・狭窄,内ヘルニアなど),②機能的障害(小胃・ダンピング・食道逆流・腹痛・消化不良・下痢・便秘の症状,Roux-en-Y症候群など),③栄養・代謝性障害(鉄・ビタミンB12欠乏性貧血,骨代謝障害,消化吸収障害,るい痩など)に大きく分類される。
行われた胃切除術式のタイプ,主な症状の強さ・頻度と食事との関連性を確認し,各種画像検査(内視鏡,CT,超音波,消化管造影など),血液生化学・栄養学的検査を行い,胃切除後障害の種類(上記①~③のどれか)と重症度を診断する。
術後早期から,症状,食事量,体重変化に注目し,不調があれば外来栄養指導を行い,食事生活習慣の再構築をサポートする。食事の内容と食べ方を指導することで,消化器系統への負担が減り,改善が期待される。よくみられる胃切除後障害の治療の実際について,以下に述べる。
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