【質問者】七條智聖 大阪国際がんセンター消化管内科副部長
【創閉鎖の新たな技術や機器が偶発症予防および救済に貢献している】
目覚ましい進化を遂げている昨今の消化器内視鏡分野は,画期的な光学的診断や治療手技を取り入れた新たなステージを迎えています。一方で,内視鏡治療に伴う偶発症のリスク管理は,取り組むべき現状課題のひとつです。
高齢化社会における抗血栓薬服用例の増加に伴う後出血予防や,重篤な病態となる医原性穿孔の救済および遅発穿孔予防の対策が求められています。その方策として,内視鏡による消化管創閉鎖を目的とした新たな技術や機器が加速的に開発されています。
最新の総説では,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)後創閉鎖の後出血予防効果が示されています1)。また,十二指腸では,遅発穿孔率は,創閉鎖群で非閉鎖群より有意に低いことから十二指腸ESD後の創閉鎖は必須とされます2)。
近年,2cmを超える大きな創部の閉鎖には,種々の斬新な閉鎖法が開発されており,主に①止血用クリップ, ②大型の機械クリップ, ③外科糸による縫合機器,を用いた3つの手技に大別されます。
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