脳卒中は,ほとんどが急性に発症する脳出血,脳梗塞,くも膜下出血などの疾患の総称である。いったん発症すると,麻痺,嚥下障害,運動失調だけでなく,失語等の高次脳機能障害などの後遺症を残すことが多い。
脳卒中は「悪性新生物」「心疾患」「老衰」についで日本人の死亡原因の第4位である。また,要介護者になる原因として,「認知症(24.3%)」についで「脳血管疾患(脳卒中)」が19.2%となっている1)。
発症時の主な症状は,突然の激しい頭痛,めまいと歩行障害,発語障害,視力視野障害,麻痺としびれである。主な後遺症としては,痙縮,異常感覚(痛み),うつ,脳血管性認知症,症候性痙攣,嚥下障害,膀胱直腸障害などがある。
発症時は,神経学的診察所見と,頭部CT・MRI検査などで診断される。脳の障害部によって後遺症が異なる。また,適切な病型診断が再発予防のために重要である。
急性期は,できる限り早く脳卒中専門医を中心としたチームが,脳卒中専門病棟で集中的に診断・治療を行うことで,死亡率や後遺症を抑制できる。また地域において,診療の均てん化とシームレスな医療・介護提供体制づくりが必要であり,「治療とリハビリテーション」の継続が地域全体の脳卒中再発予防とQOL向上につながる。
一般に上下肢の運動麻痺は発症3カ月まで回復を続け,6カ月以降はほとんどプラトーに達する。麻痺の程度や回復の見込みに合わせて,適切な装具や杖などの補助具を使用したり,非麻痺側の機能をうまく利用したりして,日常生活動作(ADL)の拡大や歩行能力の向上を図っていく必要がある。
脳卒中の病型により再発予防のための治療は異なる。リスクコントロールと基本的な治療方針は継続すべきである。
リハビリテーションは,障害と活動制限を評価して残存能力を維持し,移動,食事,排泄,入浴などの日常生活に即したものとし,家族の介護負担を軽減するという視点も必要である。適切な装具や福祉用具の選択も重要である。
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