文部科学省の「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」(座長=遠藤久夫学習院大経済学部長)の初会合が16日開かれた。
昨年12月の復興庁、文科省、厚労省の設置認可に関する「基本方針」を踏まえ、応募のあった3件(国際復興記念大学設立準備室〔脳神経疾患研究所〕、東北薬科大、宮城県)を審査し、最も趣旨に適い実現可能性のあるものを1件選定、文科相に報告する。
認可に関する留意点(必要な条件整備)として「基本方針」は、(1)震災後の東北の地域医療ニーズに対応した教育、(2)教員や医師、看護師確保の際、引き抜き等で地域医療に支障を来さない方策、(3)大学と地方公共団体が連携し、卒業生が東北に残り地域の医師不足解消に寄与する方策、(4)将来の医師需給等に対応して定員を調整する仕組み─の4点を求めている。
初会合ではこのうち(3)の卒業生が東北に残る方策について、委員の間から「もう1つ“ザル”を作るのでは意味がない。実現不可能と思うが東北限定の医師免許があってもいい」「総合診療医の養成を中心に」など、“特殊な医学部”を求める意見が相次いだ。
審査会は今後、応募者、関係者(東北地方の自治体、大学、日本医師会)からそれぞれ非公開でヒアリングを行い、第4回以降選定候補の審査を行う。文科省は「秋前までに1件に絞りたい」としており、大学設置・学校法人審議会の審議・答申、文科相の認可を経て、早ければ2016年4月に開学。1981年の琉球大医学部以来、35年ぶりの医学部新設となる。