巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は,発症年齢のピークは70歳代,頭蓋動脈病変(側頭動脈,眼動脈,大動脈病変)として,鎖骨下動脈,腋窩動脈,大動脈本幹などに病変を認める。
GCAの診断は側頭動脈生検で確定される。血管壁の全層性の単核球浸潤,内弾性板の破壊,同心円状の内膜増殖を特徴とし,断裂した内弾性板近傍の中膜側に多核の巨細胞を認めることがある。近年は全例に生検を行うのは困難であることから,血管エコーによる側頭動脈のhaloサイン(血管壁肥厚を示す均一なhypoエコー所見,圧迫しても変化しない)で代用することもある。大動脈本幹や大動脈分枝の壁肥厚は造影MRI,造影CT,頸動脈エコーで,血管の構造的変化(狭窄,閉塞,拡張,動脈瘤)はMRアンギオグラフィ,CTアンギオグラフィ,頸動脈エコーで評価できる。大動脈病変の広がりと活動性評価にはfluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)が有効である。
厚生労働省の難病認定に使用されているGCA診断基準は,米国リウマチ学会の1990年の分類基準を参考に作成された。除外診断が必要だが,診断時の参考となる(詳細は難病情報センターのウェブサイトを参照1))。しかし,1990年の分類基準は大動脈病変が考慮されていないなどの問題点があり,2022年に米国/欧州リウマチ学会より新たな分類基準2)が提唱された。
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