インスリノーマ,消化管ホルモン産生腫瘍は,神経内分泌腫瘍のうちインスリンやその他の消化管ホルモン(ガストリン,グルカゴン,VIP,ソマトスタチン,PP等)を分泌するもの(「カルチノイド症候群」については別稿参照)で,ホルモン分泌による症状を有し,それに対する治療が必要な場合が多い。
腫瘍自体は一般的に増殖がゆるやかである。ガストリノーマは悪性度が高い場合が多く,うち20%は多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1,別稿参照)に合併する,などの特徴がある。
意識障害のエピソード・低血糖(インスリン),繰り返す胃十二指腸潰瘍(ガストリン),高血糖(グルカゴン),下痢(VIP)など分泌ホルモンに応じた症状を呈すると言われているが,非特異的な場合もある。原発腫瘍の検索を行って腫瘍の存在が確認されたら生検を行い,Ki-67指数などの細胞増殖活性の評価も含めた病理診断で確定診断とする。遠隔転移の有無に関する画像評価も必要である。上記症状から本病態の可能性を念頭に置き,採血によるホルモン値の検査,そして腫瘍(しかも希少がんである神経内分泌腫瘍)の存在を想定して検査が進められるか,または膵・消化管に神経内分泌腫瘍を認めた場合に上記症状についてしっかり聴取できるか,がポイントである。
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