症例
50歳代の女性。統合失調症で精神科病院に通院中の患者。自殺の目的で南京錠を飲み込んだため救急病院を受診し,単純X線検査で南京錠が胃内に存在することが判明した。内視鏡的摘出術を試みたが摘出できず,外科的摘出術を目的として当院外科へ紹介された。外科医より,外科手術を行う前に内視鏡的摘出術が可能か否か,もう一度検討してほしいとのコンサルトを受けた。付き添いの家族に問診すると,飲み込んだのは約5cm大の真鍮製の南京錠で,大きく硬い異物であることがわかった。
そのまま放置して南京錠が小腸へ移動すると消化管壁の損傷や閉塞をきたす可能性があり,いずれにしても早急に摘出が必要と判断した。内視鏡を用いて摘出するにはかなり難易度の高い消化管異物と考えられ,偶発症を含めて十分なインフォームド・コンセントを行い,同意を得た。
▶セデーションとしては,ミダゾラムの静脈内投与を行った。ゴム手袋の指の部分をカットしてゴム製の保護膜を作成し,2チャンネルスコープの先端に装着した(図1)1)。
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