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関節リウマチ(内科的治療)[私の治療]

No.5231 (2024年07月27日発行) P.48

松本 功 (筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学教授)

登録日: 2024-07-25

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  • 関節リウマチ(RA)は関節滑膜炎を主座とする全身性自己免疫疾患である。
    有病率は人口の約0.5%とされ,頻度の高い疾患である。通常30~60歳代女性に好発するが,高齢発症も増えている。女性の有病率は男性のおよそ3~4倍である。

    ▶診断のポイント

    2010年米国/欧州リウマチ学会の新分類基準を用いる。1つ以上の関節炎を認め,その後新分類基準に合わせて,関節炎の部位や数,自己抗体(リウマトイド因子や抗CCP抗体)の有無と値,炎症反応(赤沈,CRP)の有無,罹病期間(6週以上かどうか)を確認し,10点満点で6点以上,あるいは典型的な骨びらんが認められればRAと診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診断後は速やかに治療介入し,可能な限り関節炎の沈静化と寛解をめざす。

    メトトレキサート(MTX)はアンカードラッグとして使用され,投与前に結核の除外,肝炎ウイルス(既感染も含めて)のチェックが必要である。B型肝炎ウイルス(HBV)に関しては,全例でHBs抗原をスクリーニングし,キャリアであればMTXや生物学的製剤は原則禁忌とされる。特に免疫抑制薬や化学療法を行う場合にはHBV既感染パターンであっても注意が必要で,HBV定量測定などで再活性化にも留意する。MTXは6~8mg/週で開始し,最大16mg/週まで増量可能であるが,12mg/週までの増量で効果判定ができることが多い。週8mg以上で葉酸投与を推奨。間質性肺炎(空咳に注意),骨髄抑制(MCVなどでの定期的観察),肝機能障害,リンパ増殖性疾患(投与中止により軽快することもありうる),消化器症状などの副作用に注意する。皮下注製剤であるメトジェクトが発売され,消化器症状で内服継続が難しい患者に投与が推奨される。高齢者では腎機能障害が併存しているケースが多く,服用も複雑なことから少量投与,あるいは使用しないケースもある。

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