1型糖尿病は,膵β細胞の破壊に伴う高度なインスリン分泌低下によって引き起こされる糖尿病であり,通常は絶対的インスリン欠乏状態に至る。1型糖尿病の多くがβ細胞を標的とする自己免疫疾患と考えられている。
1型糖尿病は,発症様式別に急性発症,緩徐進行,劇症の3つに分類されており,各々診断基準が策定されている1)~3)。発症時における高血糖症状やケトーシスの有無,高血糖症状出現後糖尿病ケトーシスまたはケトアシドーシスを発症し診断に至るまでの期間,内因性インスリン分泌能の程度,膵島関連自己抗体の有無などをもとにして診断される。
健常者におけるインスリン分泌は,24時間一定の割合で持続的に分泌されている基礎分泌と,食後の血糖上昇に反応して分泌される追加分泌で構成されている。1型糖尿病におけるインスリン療法の基本は,このインスリン分泌パターンをインスリン注射で模倣し構築することにあり,基礎分泌と追加分泌を各々持効型溶解インスリン,超速効型インスリンの皮下注で補う。さらに血糖自己測定やインスリン効果値,カーボカウントを利用して患者自らインスリン量を調整し,良好な血糖コントロールをめざす(強化インスリン療法)。インスリンポンプ療法も有用である(詳細は成書に譲る)。
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