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結節性多発動脈炎(PAN)[私の治療]

No.5237 (2024年09月07日発行) P.43

池田 啓 (獨協医科大学リウマチ・膠原病内科主任教授)

登録日: 2024-09-06

最終更新日: 2024-09-03

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  • 結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN) は,中型血管を主体として,血管壁に炎症を生じる疾患である。代表的な罹患臓器として,皮膚・筋骨格・腎・神経・消化器が挙げられる。皮膚に限局したものは皮膚型PANと呼ばれ,独立した疾患として扱われることが多いため,本稿では扱わない。

    ▶診断のポイント

    発熱・体重減少などの全身症状と炎症反応高値,罹患臓器特有の症状・所見より疑われることが多い。画像検査(造影CT/MRIまたは血管造影)上の特徴的所見(動脈瘤,血管壁不整,狭窄または閉塞),あるいは組織所見上の中・小動脈のフィブリノイド壊死を伴う血管炎で診断する。MPO-ANCAまたはPR3-ANCAが陽性である場合,中動脈の血管炎を認めても,ANCA関連血管炎と診断することが多い。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    活動性のB型肝炎またはC型肝炎が合併している場合,緊急性がない場合は肝炎の治療を先行させる。

    急速な進行,または致死的あるいは後遺障害のリスクが高い臓器病変(中枢神経病変,運動神経障害,急速進行性腎機能障害,急速に拡大する動脈瘤,消化管出血・穿孔,冠動脈病変など)を認める場合,速やかにメチルプレドニゾロンパルス療法を開始し,高用量のプレドニゾロン(1mg/kg/日),シクロホスファミドパルス療法により寛解導入を行う。難治性の場合,再度メチルプレドニゾロンパルス療法を行い,血漿交換療法(保険適用外),ミコフェノール酸モフェチル(保険適用外)の追加を検討する。

    進行が緩徐であり,致死的あるいは後遺障害のリスクが高い臓器病変を認めない場合は,中等量~高用量のプレドニゾロン(0.5~0.8mg/kg/日)で治療を開始する。難治性の場合,速やかに免疫抑制薬〔シクロホスファミド,アザチオプリン,またはメトトレキサート(保険適用外)〕を追加し,必要であればプレドニゾロンを増量またはメチルプレドニゾロンパルス療法を追加する。

    寛解導入達成後はプレドニゾロンを5~10mg/1~2週の速度で減量する。20mg/日以降は2.0~2.5mg/2~4週の速度で減量し,5mg/日以下の維持量をめざす。再燃徴候を認める場合は積極的に免疫抑制薬を追加または変更し,可能であればプレドニゾロン中止をめざす。

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