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好酸球性胃腸炎[私の治療]

No.5239 (2024年09月21日発行) P.46

鶴岡ななえ (佐賀大学医学部内科学講座消化器内科特定講師)

江﨑幹宏 (佐賀大学医学部内科学講座消化器内科教授)

登録日: 2024-09-22

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  • 好酸球性胃腸炎は,胃から直腸まで多岐にわたる臓器に異常な好酸球の浸潤をきたし炎症が起こる結果,様々な症状が出現する疾患である。若年から中高年まで幅広い年齢層で発症し,喘息等のアレルギー疾患を合併することが多い。

    ▶診断のポイント

    消化管に起因する症状とともに,消化管組織への好酸球浸潤を証明することで診断される1)

    内視鏡検査では,粘膜の浮腫や発赤,びらんなどを高率に認めるが特異的な所見はなく,内視鏡検査のみで確定診断をすることは困難である2)。そのため生検が重要であるが,好酸球の浸潤する部位によっては,粘膜からの生検では診断がつかない場合もあり,注意が必要である。また,生検診断で好酸球浸潤を認めても確定診断とはならず,好酸球浸潤をきたす他疾患(寄生虫感染症やセリアック病,特発性好酸球増多症候群,炎症性腸疾患等)を除外することが重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    病因・病態が十分に明らかとなっていないため,原因療法を行うことは難しい。小児を中心に食物摂取に関連して症状を有する場合には,食物除去療法を試みる。

    十分なエビデンスをもって有効とする治療は実証されていないが,一般的には副腎皮質ステロイドの経口的な全身投与が行われ,短期的には約9割が症状改善を認める2)。しかし,ステロイドに反応が乏しい症例や,漸減中に再燃することもしばしば経験される。ステロイドの減量のタイミングやスピードに関しても十分なエビデンスはない。

    【治療上の注意】

    急性増悪時や重症例あるいは難治例(消化管閉塞,蛋白漏出胃腸症,成長障害等)ではステロイドが強く推奨されるが,軽症~中等症に対するステロイド投与は生活の質(QOL)などを十分に考慮して決定する必要がある。ステロイドの漫然とした長期投与や短期間での繰り返し投与は,副作用や合併症につながることがあるので,速やかな減量・中止を念頭に置く。

    ステロイド投与前にはB型肝炎や結核等の感染症スクリーニングを忘れずに行い,投与継続中は定期的な副作用のモニタリングも行う必要がある。

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