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巨細胞性動脈炎(GCA)[私の治療]

No.5241 (2024年10月05日発行) P.34

亀田秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野教授)

登録日: 2024-10-03

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  • 巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は,大型・中型動脈に生じる全身性肉芽腫性血管炎で,以前は側頭動脈炎と呼称されていた。50歳以上の高齢者に発症し,発症のピークは70歳代,男女比はおよそ1:2〜3である。わが国の患者数は,2017年の全国疫学調査で約3200人とされ,超高齢社会においてさらに増加傾向にある。本疾患自体による生命予後は良好であるが,虚血性視神経症による失明を回避することが重要である。わが国では特に,リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)の合併が多い。

    ▶診断のポイント

    2022年米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会によるGCAの分類基準は以下である(1)。なお,本基準は他疾患の十分な鑑別・除外を経て中型または大型血管炎と診断した患者の分類に適用するために策定されており,診断の参考にはなるものの診断基準としてそのまま用いるべきものではない。

    PMR様の症状を有する高齢者においては必ず本疾患を念頭に眼科診察,側頭動脈エコーを行い,可能な限り全身のFDG(18F-fluorodeoxyglucose)-PET(positron emission tomography)-CT,あるいはMRIまたは造影CTを行うことが重要である。側頭動脈エコーの結果が典型的であれば,生検を施行せずに診断して直ちに治療を開始してもよい。動脈生検は片側で最低でも1cm,可能なら2〜3cmを採取し,巨細胞の存在を確認する。生検は治療開始前か遅くとも開始後2週以内に施行する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    主要臓器障害(特に虚血性視神経症)の有無と活動性の高さ(臓器障害の進行速度,全身症状や血液検査も参考になる)により重症度を決定し,それに応じてグルココルチコイド(GC)の投与量,生物学的製剤であるトシリズマブ(TCZ)や免疫抑制薬(アザチオプリンや未承認ではあるがメトトレキサート)の併用要否などを決定する2)

    GCは効果発現が迅速で奏効率が高いため第一選択となるが,特に長期使用で多彩な副作用が高率に認められるため,原則として寛解導入時からTCZあるいは免疫抑制薬を併用し,再燃に注意しながらも可及的速やかに漸減する(2カ月以内にプレドニゾロン15mg/日以下,3カ月以内にプレドニゾロン10mg/日以下が目安)。

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