全国医学部長病院長会議は17日の会見で、2014年度の医学部低学年の留年率が2008年度の入学定員増以降、大幅に上昇したとする調査結果を公表した。
同会議は、学年別の学生数の推移がデータ化されている53大学を対象に、定員増を踏まえ補整した各学年の留年率を定員増前の2005年度と比較。その結果、14年度の留年率は、1年生174.4%、2年生125.6%、3年生106.8%、4年生117.9%、5年生121.5%と、定員増以降、低学年を中心に軒並み高くなっていた。
一方、共用試験(CBTおよびO
SCE)と国家試験の成績は低下していなかった。同会議は、環境変化が大きい1年生、基礎医学系の授業が始まり情報量が急増する2年生を乗り切れば、卒業時の知識レベルは担保されるとみている。
各大学の低学年の留年対策では、出席状況のチェックを行い、大学に出てこなくなった学生を早期発見する対応などが挙げられた。
同会議の福島統氏(慈恵医大教育センター)は、「一度も留年せず卒業する『ストレート進学者』を増やすことが医学部の責務。留年対策として、低学年から医師と社会とのつながりを実感できるキャリア教育も重要だ」と話している。