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炎症性腸疾患にCT colonography検査を行うメリット【深部大腸・小腸・管腔外への病変の広がりや粘膜炎症の評価に有用な検査法】

No.4797 (2016年04月02日発行) P.56

野崎良一 (大腸肛門病センター高野病院消化器内科/ 副院長)

登録日: 2016-04-02

最終更新日: 2016-12-16

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【Q】

大腸癌や炎症性腸疾患など大腸疾患の患者数の増加に伴い,大腸検査法も飛躍的に進歩しています。その中でもCT colonography(CTC)は侵襲性が低く,大腸腫瘍の精査において,内視鏡検査と比較した結果,非劣性が証明されたことなどから,特に大腸癌検診領域に広く浸透しています。一方,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)では,いまだ内視鏡検査が一般的なようです。IBDにCTC検査を行うメリット,適した症例などについて,大腸肛門病センター高野病院・野崎良一先生のご教示をお願いします。
【質問者】
竹島史直:長崎大学病院消化器内科准教授

【A】

これまで,CTCは主に大腸ポリープ・がんなど腫瘍性病変のスクリーニングや術前精査に有用なモダリティーとして扱われてきました。IBDに関しては,腹部CT検査が実施される機会は多いのですが,原画像,多断面再構成法(multi-planer reconstruction:MPR)による二次元画像診断が主体で,三次元画像表示であるCTCの意義についての報告は少ないのが現状です。
IBDでは単純CTに加え,より詳細に炎症の程度を評価するため造影CTによるCTCを実施することが多く,残渣をガストログラフィンなどで高CT値に標識するタギングは原則として行いません。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)に対するCTCの特徴として,注腸X線検査に類似したair imageにおいて直腸から連続したハウストラの消失や腸管の拡張性の低下(硬化像)を認めます(図1)。virtual endoscopy(VE)では粘膜面の不整,ひだの消失などがみられます。air imageとVEからUCの病変範囲を診断します。MPRではハウストラの消失,腸管壁の肥厚を認めます。これらの所見の組み合わせで,CTCでも内視鏡的重症度と同程度の画像評価を得ることが可能です。内視鏡検査は患者への身体的負担,侵襲が大きく,S状結腸までの検査にとどめる場合がよくありますが,CTCは深部大腸への病変の広がりや粘膜炎症の評価に大変有用な検査法です。
クローン病(Crohn’s disease:CD)では回盲部が病変の好発部位であるため,小腸,特に回腸の3D-CT検査をCTCと同時に実施することがよくあります。小腸・大腸3D-CT検査はCT enterocolonography(CTEC)と呼ばれています。なお,CTECは経肛門的に腸管を拡張させて行う,従来から実施されているCTCを応用した検査法ですが,CDでは小腸病変を認めることが多く,小腸の拡張方法として経口造影剤を腸管に満たす方法であるCT enterography(CTE)も全小腸の評価のために実施されています。
CDでは病変が非連続的で,腸管壁全体さらには壁を越えて壁外にまで炎症が及ぶことがしばしばで,大腸・小腸にスキップして病変がみられることがよくあります。CDのCTC・CTECの特徴を表1にまとめました。CDの典型的病変はCTECで十分に描出可能ですが,初期病変と考えられるアフタのような粘膜に限局した病変の描出は困難です。自験例CD30例におけるCTECによる回腸の描出範囲は75±40cmでした。盲腸から終末回腸に内視鏡を挿入できなくても,病変の好発部位である回盲部の病変を効率よく検索できる利点があります。なお,狭窄などで盲腸まで内視鏡検査ができなかった10例全例で回腸に局在する縦走潰瘍を認めました。
CTCは大腸病変,CTECは大腸・回腸病変,CTEは小腸病変の診断に有効かつ簡便な検査法です。腸管壁や管腔外の情報を同時に得ることができる利点があります。検査に熟練を必要とせず,通過障害がある場合でも実施可能な検査法です。今後,被曝線量のさらなる低減化が望まれますが,IBD診療においても内視鏡や消化管造影を補完する検査法としての普及が期待されます。

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