【Q】
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は消化器管内の消化酵素を阻害し,食後の著しい血糖上昇を抑制するとされる。しかし,もともと糖尿病患者は血糖値が高いので,食事を摂らずに同薬を服用しても重症の低血糖は発生しないのではないか。食後高血糖改善薬を空腹時に摂取した場合,どのようなことが起こるか。 (兵庫県 T)【A】
ご指摘の通り,α-GIは,α-グルコシド結合を加水分解する酵素であるα-グルコシダーゼの作用を阻害し,消化管からの炭水化物の吸収を遅らせることで,食後の高血糖を抑制する。このように,α-GIは食事を摂ることによって作用が発現する薬剤であるため,血糖値が高い糖尿病患者に限って重症低血糖をきたさないということではない。あくまでも,α-GIはインスリン分泌を介さない作用機序のため,健常者でも糖尿病患者でも食事を摂らずに同薬を服用しても,単独投与であれば低血糖をきたす可能性はきわめて低い。しかし,ほかの糖尿病治療薬,特にインスリン分泌促進作用を有する薬剤を併用している場合には,食事の有無にかかわらず低血糖をきたす可能性があるので注意が必要である。