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コールドスネア・ポリペクトミー の特徴

No.4746 (2015年04月11日発行) P.59

堀内 朗 (昭和伊南総合病院内科科長/消化器病センター長)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2018-11-27

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【Q】

最近,内視鏡的大腸ポリープ切除術において,通電しないスネアを用いるコールドポリペクトミーを施行している施設があります。切除後の出血が心配ですが,本法の特徴,手技,通電を行う方法との使いわけについてご教示下さい。 (東京都 S)

【A】

コールドポリペクトミーには,生検用鉗子あるいはポリープ除去用の鉗子(ジャンボ鉗子)で,外径1~3mm大の小ポリープを除去するコールドフォーセプス・ポリペクトミー(cold forceps polypectomy)と,ポリペクトミー・スネアを用いて通電せずに絞扼のみで大腸ポリープを切除するコールドスネア・ポリペクトミー(cold snare polypectomy)の2種類の方法があります。
ここでは,コールドスネア・ポリペクトミーについて解説します。コールドスネア・ポリペクトミーによく適応される症状は,外径10mm以下の平坦型および亜有茎性の大腸腺腫です。手技は,大腸ポリープが6時の方向に位置するようにスコープを保持し,ポリペクトミー・スネアを大腸ポリープ周囲の正常粘膜を少し含むように押し当て,助手にゆっくりとスネアリングしてもらった後,勢いよくハンドルを握ります。こうして通電せずに絞扼のみで切除します(文献1)。
切除後,少量の粘膜出血を認めますが,通常の内視鏡的大腸ポリープ切除術に比べて遅発性出血が起こるのは稀ですので,予防的なクリッピングの必要はありません。ただし,有茎性ポリープを除去した場合は茎内の血管より湧出性出血が持続することが多いので,クリッピングが必要です。コールドスネア・ポリペクトミー専用のスネアを使用すると,外径8~10mm大の大腸ポリープや有茎性ポリープも,絞扼のみで容易に除去できます。
筆者は,コールドスネア・ポリペクトミーのみでポリープ除去が困難な場合に備えて通電できるBoston Scientific社製の外径13mmの6角スネア〔CaptivatorTMSingle-Use Snares (small hexagonal)〕を使用しています。このスネアは,ポリープの大きさに応じてスネアの外径を調整でき,周囲の正常粘膜を取り込みすぎないので便利です。
高周波切開凝固装置を使用する通常の大腸ポリープ切除術に比べて,コールドスネア・ポリペクトミーの利点は,焼灼により生じる熱傷が発生しないことにより,クリッピングなどの時間,労力,コストを節約でき,大腸ポリープ切除後の便通異常や腹部違和感などの消化器症状や出血が少ないことです(文献2)。
また,筆者は,通常の内視鏡的大腸ポリープ切除術による遅発性出血は「焼灼による粘膜下層の血管傷害に起因する」との仮説のもと,コールドスネア・ポリペクトミーは通電・焼灼しないためにワルファリン内服中の患者でさえ遅発性出血を発生させないことを報告しました(文献3)。
さらなる大腸癌死撲滅をめざすとき,大腸内視鏡検査で遭遇する外径10mm以下の大腸ポリープの切除法として,コールドスネア・ポリペクトミーはきわめて安全で有用な方法と思われます。

【文献】


1) 堀内 朗:診断と治療. 2014;102(7):1064-8.
2) Ichise Y, et al:Digestion. 2011;84(1):78-81.
3) Horiuchi A, et al:Gastrointest Endosc. 2014;79 (3):417-23.

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