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energy dense foodやnutritionally poor foodとは具体的にどんな食べ物ですか?【肥満症の原因となる食品から知る現代人に必要な栄養素】

No.4772 (2015年10月10日発行) P.60

香川靖雄 (女子栄養大学副学長)

登録日: 2015-10-10

最終更新日: 2016-10-25

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【Q】

肥満症の原因とされるenergy dense foodやnutritionally poor food,junk foodというのは具体的にはどのような食べ物を指すのでしょうか。 (東京都 F)

【A】

ご質問のenergy dense foodとは,カロリー密度(ca-loric density:CD=kcal/g)の高い食品のことです。健康に良い伝統的和食は平均CD 1.0ですが,米国食で平均1.7となるのは,米国食(カッコ内は平均CD)に油脂(9),牛肉(5),ケーキ(4)をはじめ,CDが3より高い食品が多い一方で,和食は野菜(約0.2)など繊維が多いためです。
1980年代には肥満が少なく男性平均寿命1位であった沖縄が,2010年には男性30位に転落しています。これは,米国食の影響で現代沖縄食のCDが1.4に増え,肥満度全国1位になって生活習慣病死が増えたためです。字数の関係でCD 3以上の食物の多数例は略しますが,『エネルギー早わかり─いつも食べる量のエネルギーがひと目でわかる』(女子栄養大学出版部)に記載されています。
nutritionally poor foodとは,文字通りの栄養に乏しい食品を指すのではなく,炭水化物や脂質は豊富ですが,蛋白質,無機質,ビタミン,食物繊維がわずかしか含まれない食品を指します。炭水化物や脂質も,栄養学的にはカロリーを供給しますが,こればかり食べると肥満になりやすく,多くの栄養素の欠乏となります。たとえば,砂糖や脂質のたくさん入った菓子類が良い例です。
junk foodとは,英国食品基準庁の定義では高カロリー,高塩分,または多量の砂糖を含んだ食品です。ジャンクとは屑を意味しています。ただし,高カロリーで無機質,ビタミン,食物繊維が少ない食べ物をjunk foodと定義すると,肉類や魚介類も該当するので,やはり蛋白質も乏しい食品とするとわかりやすいでしょう。お尋ねの食品の例は,即席麺をはじめとする野菜,魚介類の乏しいインスタント食品やファストフード店の加工食品が代表的です。日本人の食塩摂取量は男性で8g/日未満と厚生労働省が定めていますが,ラーメンを汁まで全部摂ると1食の塩分量は6gになります。
以上の3種の食品群にはカロリーが多く,微量栄養素が少ないが口当たりが良く,大勢が食べるという共通点があります。世界保健機関(WHO)はこれら食品を肥満,糖尿病,心血管疾患,がんと関連づけています。当然,ビタミン,無機質の欠乏も心配されます。
驚くべきことに,食品が店に溢れている現代の日本では,ほとんどの男女で,大部分の微量栄養素と繊維素の平均摂取量が,厚生労働省の定める推奨量,目安量を満たしていないのです。平成25年度の国民健康・栄養調査によると,食物繊維やカルシウムは半分強,ビタミンA,B1,B2,B6,C,D,E,葉酸,ナイアシン,カリウム,マグネシウム,亜鉛もかなりの年齢,性で不足しているのです。これらも,大量の上記食品群の摂取増加が一因と考えられ,肥満と並んで,増加中のフレイル(心身虚弱)の原因でもあるのです。

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