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食後脂質異常症はポリアクリルアミド電気泳動で評価できる?

No.4782 (2015年12月19日発行) P.64

平野 勉 (昭和大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

食後脂質異常症は評価が重要と思われますが,ポリアクリルアミド電気泳動を食後の採血で評価することは可能ですか。また,リポ蛋白分画〔高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法〕検査の位置づけをご教示下さい。 (大阪府 I)

【A】

食後脂質異常症とは,狭義には食後のトリグリセリド(TG:中性脂肪)の過剰な増加を意味します。食後TGの上昇は,食事由来のTGがカイロミクロンとして血中に分泌されることに起因します。巨大粒子のカイロミクロンは血中で分解され,カイロミクロンレムナントと言われる小粒子のリポ蛋白になり,肝臓に取り込まれます。
ポリアクリルアミド電気泳動では,主に粒子の大きさでリポ蛋白を分画します。カイロミクロンは大きすぎてゲルに入らず原点にとどまります。カイロミクロンレムナントはゲルに入りますが,内因性のリポ蛋白である超低密度リポ蛋白(very low-density lipoprotein:VLDL)と脂質染色で区分することはできません。したがって,ポリアクリルアミド電気泳動で食後脂質異常症を評価することはできません。カイロミクロンおよびそのレムナントの測定は,アポB48を免疫的に定量する方法が一般的で,食事負荷後のアポB48濃度を測定することで食後脂質異常症が正確に評価できます。
HPLC法は,少量の血清でもリポ蛋白をさらに細かなサイズ別に区分できる方法です。分画されたリポ蛋白のTGとコレステロールを定量することで,リポ蛋白の細かい変化がわかります。ただし,HPLC法は保険適用がなく,結果の評価も複雑で一般臨床にはあまり用いられていません。主に小動物を用いた実験や特殊な脂質異常症を見つける方法として使用されています。

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