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潰瘍性大腸炎に対する TNF-α阻害薬の使用法

No.4726 (2014年11月22日発行) P.58

金井隆典 (慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教授)

登録日: 2014-11-22

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

2013年6月以降,潰瘍性大腸炎に2剤の生物学的製剤(インフリキシマブ,アダリムマブ)が使用可能になりましたが,これらはどのように使いわけるべきでしょうか。また,免疫調節薬の有無は,使いわけに影響しますか。慶應義塾大学・金井隆典先生のご回答をお願いします。
【質問者】
坂田 優:三沢市立三沢病院院長

【A】

潰瘍性大腸炎におけるインフリキシマブとアダリムマブの効果の優劣は明らかにされていません。そのためには,head-to-headといった,両者を直接比較する臨床試験を実施する必要がありますが,様々な要因で実施されていません。
静脈注射のインフリキシマブ(レミケード)と皮下注射のアダリムマブ(ヒュミラ)の両方の偽薬(プラセボ)を作成し,二重盲検試験を実施するには膨大な費用が必要で,医師主導で行うことはほぼ不可能です。また,企業主導で行うとすれば,一方の企業が他社の実薬の費用を負担して行うわけですから,なかなか簡単ではありません。現状では,静脈注射と皮下注射の明白な違いによって,患者さんが選択しているのが実情です。
潰瘍性大腸炎で抗腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α:TNF-α)抗体製剤を用いるのは,主に,ステロイド抵抗性かステロイド依存性の患者さんです。入院,外来のどちらで投与するのかといったことも選択に影響するかもしれません。また,免疫調節薬使用の有無が,両者の使いわけを左右するというデータはこれまでにはありません。インフリキシマブまたはアダリムマブを使用する前に免疫調節薬を使用している場合,通常免疫調節薬は継続します。一方,使用していない場合には,抗TNF-α抗体製剤と免疫調節薬との併用は抗TNF-α抗体製剤単独に比べて有効性が高まるという報告があります。現状では,併用による副作用などを考慮して,医師の裁量と患者さんの希望をもとに選択しています。
潰瘍性大腸炎における抗TNF-α抗体製剤の使用法に関してはまだまだ解決されていない点があり,今後の臨床研究を正確にフォローする必要があります。

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