【Q】
TNF(tumor necrosis factor)阻害薬などの生物学的製剤の投与時,結核感染の検索は必須とされ,陳旧性結核が疑われる場合は,イソニアジド(イスコチンR)などの予防投与後に生物学的製剤の投与が行われています。一方,Mycobacterium avium complex(MAC)などの非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)の感染患者に関して,日本リウマチ学会のガイドラインでは,「非結核性抗酸菌感染症に対しては確実に有効な抗菌薬が存在しないため,同感染患者には原則として投与すべきでないが,患者の全身状態,関節リウマチ(RA)の活動性・重症度,菌種,画像所見,治療反応性,治療継続性等を慎重かつ十分に検討したうえで,TNF阻害薬による利益が危険性を上回ると判断された場合にはTNF阻害薬の開始を考慮してもよい。その場合には一般社団法人日本呼吸器学会呼吸器専門医との併診が望ましい」とされています。そのため,NTMの患者さんに生物学的製剤は非常に使いづらく,RAの治療に難渋することがあります。【A】
「呼吸器症状はなく,胸部X線写真で軽度の変化があり,胸部CTを撮影しNTM症が疑われ,気管支鏡検査でMAC培養陽性が出た」。イメージでは,このような症例がまず治療対象の選択肢に入るのではないかと思います。現時点での治療選択の考え方は以下の通りです。