石井均奈良県立医大糖尿病学講座教授が19日、都内で講演し、糖尿病患者のインスリン治療に対する抵抗感と治療開始時期について、「インスリン治療を勧められた患者の70~85%は抵抗感を抱く。医師は時間をかけて患者を説得し、適切なタイミングで治療を始めることが大切」と訴えた。
石井氏は、「一生懸命話しているのに患者に“嫌”と言われると、医師としても諦めてしまいがちだが、インスリン治療をする気が全くないと考えている患者でも6カ月後には約3割が治療を開始している。患者の気持ちは変化する」と指摘。医師は患者が納得するまでに時間がかかることを認識した上で説明を継続する必要性を強調した。その際、患者が持つ「生きていくことへの不安」や「注射は怖い」「人に知られたくない」といった治療への抵抗感を1つずつ取り除き、インスリン治療に「体調が良くなる」など正のイメージを持つことが早期治療につながるとした。
石井氏はまた、「インスリン治療は早く始めるほど目標とする血糖値に迅速・確実に到達する。(自身の調査によると)医師自身が患者の場合に治療開始を考えるHbA1cの値は7.7だが、患者への治療を考える値は8.3、実際に勧める値は9.2」として、医師側が持つ抵抗感を克服する必要性も強調した。