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持続血糖モニタリングの今後の課題

No.4702 (2014年06月07日発行) P.57

長坂昌一郎 (自治医科大学内分泌代謝科准教授)

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-26

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2009年にわが国でも持続血糖モニタリング装置が承認され,その後いくつかの制限はあるものの保険適用となった。2012年には外来での測定に適するiPro2も発売され,多くの医療施設で持続血糖モニタリングが行われるようになった。
持続血糖モニタリングにより,境界型や2型糖尿病患者の血糖変動が,従来考えられていたよりも大きいこと,また多くの1型糖尿病患者では,夜間の無自覚性低血糖,いわゆる暁現象と呼ばれる早朝の血糖上昇,低血糖後のSomogyi効果と呼ばれる血糖上昇が混在してみられることが示された。HbA1cは過去1~2カ月の平均血糖を反映する指標とされてきたが,持続血糖モニタリングにより,やはり平均血糖と強く相関することが証明された(文献1)。種々の薬物療法や運動療法の効果も多数報告されているが,食事療法の効果の検証は意外と少ない。昨今,炭水化物の摂取割合について議論されているが,食事時間や回数についてもさらに検討が必要である(文献2)。
血糖コントロールが不十分な患者を対象に,持続血糖モニタリングを用いてより適切な薬物療法を検討することは当然であるが,モニタリングの結果を患者のモチベーション向上に結びつける試みが,今後ますます重要になると思われる。食事や間食,運動と持続血糖モニタリングの結果を照合し,生活習慣の改善や治療へのモチベーション向上を図ることが,持続血糖モニタリングを活かすための重要な課題と思われる。

【文献】


1) Nathan DM, et al:Diabetes Care. 2008;31(8): 1473-8.
2) Sato M, et al:Obes Res Clin Pract. 2011;5(3): e220-8.

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