低用量経口避妊薬(OC)が承認され10年以上の歳月が過ぎたにもかかわらず,わが国の避妊法はいまだに男性主導のコンドームによるものが一般的である。一方,OCは女性がより主体的に取り組める避妊法であり,かつその副効用から徐々に普及している。
また,新しいホルモン製剤の登場により,確実な避妊法が行われなかったときの望まない妊娠を回避するために用いられる最後の避妊手段である緊急避妊も確立されてきた。わが国の緊急避妊は長年にわたり,医師の責任のもとに中用量のエストロゲン・プロゲスチン配合剤が使用されてきた(ヤッペ法)が,2011年に緊急避妊薬(ECP)としてWHOが推奨し,世界的に最も広く使用されているレボノルゲストレル(LNG)単独剤(ノルレボR錠)がようやく承認された。
実際には,「緊急避妊法の適正使用に関する指針」(文献1)にある緊急避妊法選択のアルゴリズムに沿ってECPの必要性を検討し,必要と判断した場合,性交後72時間以内にノルレボ2錠を医師の前で内服してもらう。ヤッペ法と比較すると1回の内服であるためコンプライアンスが良く,妊娠阻止率も84%と高く,悪心・嘔吐発現率も明らかに低い。
LNGを使用する上で最も大切なことは,あくまで緊急避難的で確実な避妊法ではないことを指導し,そして,これを機に女性自身が主体的に行えるより確実なOCなどの避妊法を選択するよう促すことである。
1) 日本産科婦人科学会 編:緊急避妊法の適正使用に関する指針. 2011.
[http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guiding-principle.pdf]