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高齢2型糖尿病の血糖管理

No.4719 (2014年10月04日発行) P.53

大田秀隆 (東京大学医学部附属病院特任講師)

登録日: 2014-10-04

最終更新日: 2016-10-26

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高齢者人口の増加とともに,過度な医療に陥らず,適切な医療を行うことが重要であることが認識されつつある。米国では,米国老年医学会によるChoosing WiselyRという根拠に基づく適切な医療・ケアの提供が提言された(文献1)。その中で10の提言を行っており,今回は高齢2型糖尿病の厳格な管理に関する指針を中心に述べる。
今回の提言では,65歳以上の高齢者のHbA1c(NGSP)を7.5%未満に厳格にコントロールすることをなるべく避けるように述べている。現在,高齢2型糖尿病患者に対して厳格に血糖をコントロールすることの有益性については根拠に乏しく,逆に低血糖による転倒のリスクや認知症のリスクを高めるとの報告もある(文献2,3)。また,HbA1cを健康で生命予後が長期の高齢患者に対しては7.0~7.5%,合併症があり生命予後が10年以内の高齢患者に対しては7.5~8.0%,多数合併症を持ち生命予後が短期間の高齢患者に対しては8.0~9.0%にコントロールすることが推奨されている。
インスリン導入や厳しい食事制限などが高齢者のQOL低下の要因になることもあり,低血糖リスクの低い薬剤(DPP-4阻害薬など)の選択が望ましいと思われる。熊本宣言2013にもあるように,特に高齢患者では,年齢,罹患期間,臓器障害,低血糖リスク,サポート体制などを考慮して,個々の患者の状態に応じた治療目標設定が必要である。

【文献】


1) Choosing Wisely◆:Five Things Physicians and Patients Should Question, AGS, 2014.
[http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/american-geriatrics-society/]
2) Whitmer RA, et al:JAMA. 2009;301(15):1565-72.
3) Schwartz AV, et al:Diabetes Care. 2008;31(3): 391-6.

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