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新しい脂質異常症治療薬の展望

No.4725 (2014年11月15日発行) P.49

高橋 学 (自治医科大学内分泌代謝科)

登録日: 2014-11-15

最終更新日: 2016-10-26

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スタチンによるLDL-C低下療法には,冠動脈疾患と脳梗塞予防のエビデンスが豊富に存在する。しかし,そのイベントの低下率は約3割であり,約7割の残余リスクへの対策が課題である(文献1)。また,家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)には有効な薬物がない。高LDL-C血症,低HDL-C血症,高TG血症が管理目標に到達しない場合には,それらに対して薬物介入を行うことで残余リスクの低減が期待される。
LDL-C低下療法としては,LDL受容体の分解に関わるPCSK9の阻害薬,アポB-100へのアンチセンスオリゴヌクレオチド,MTP阻害薬などが開発中である(文献2)。特に,後二者はHoFHにも有効である。高TG血症に対しては,有効性と安全性に優れる選択的PPARαアゴニスト(K-877)が開発中である(文献3)。
低HDL-C血症に対しては,CETP阻害薬などが開発中である。HDL-C増加作用だけでなく,LDL-C低下作用も有する。しかし,トルセトラピブは心血管イベントと総死亡の増加により,またダルセトラピブも有効性を示せず,ともに開発が中止された。一方,アナセトラピブやエヴァセトラピブの臨床試験は継続されている(文献2)。これらの薬剤が,残余リスクを低減する薬物となりうるかが注目される。

【文献】


1) Fruchart JC, et al:Diab Vasc Dis Res. 2008;5 (4):319-35.
2) Noto D, et al:Curr Atheroscler Rep. 2014;16(6): 414.
3) Fruchart JC:Cardiovasc Diabetol. 2013;12:82.

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