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肺癌の組織型と抗癌剤選択

No.4735 (2015年01月24日発行) P.48

清水哲男 (日本大学内科学系呼吸器内科)

登録日: 2015-01-24

最終更新日: 2016-10-26

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肺癌は組織型により分類することができる。頻度は腺癌が最も多く,次に扁平上皮癌,小細胞癌,大細胞癌の順である。組織型の分類には,病理組織の形態学的観察に加えて,免疫組織化学法を用いた,がん組織における特異的蛋白発現の測定も行われる。特に,分化度が低いがんは形態学的な分類が困難であり,組織型の決定に免疫組織化学法は有用である。
従来,肺癌の化学療法では,生物学的特性の違いから小細胞癌と非小細胞癌(腺癌,扁平上皮癌,大細胞癌)に大別し,どの抗癌剤を投与するかを決めてきた。頻度の高い腺癌や扁平上皮癌には非小細胞癌として一括して抗癌剤治療を行っていたが,最近は非小細胞癌の中でも組織型により効果が異なる抗癌剤が出現した。
ペメトレキセドは非小細胞癌において,組織型の違いにより効果が異なることを臨床試験で初めて示した抗癌剤であり(文献1),扁平上皮癌に比べ腺癌で効果が高い。S-1(文献2)とnab-パクリタキセル(文献3)は臨床試験で,扁平上皮癌に対して有望な治療薬である可能性が示されている。
現在,非小細胞癌からさらに組織型を分類し抗癌剤を決定していくことが一般的である。そのため,肺癌臨床における組織型分類は重要になってきている。

【文献】


1) Scagliotti GV, et al:J Clin Oncol. 2008;26 (21):3543-51.
2) Yoshioka H, et al:Ann Oncol. 2013;24(5): 1326-31.
3) Socinski MA, et al:J Clin Oncol. 2012;30(17): 2055-62.

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