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ALK肺癌に対する薬物治療

No.4746 (2015年04月11日発行) P.48

佐藤克明 (近畿大学呼吸器外科)

須田健一 (近畿大学呼吸器外科)

光冨徹哉 (近畿大学呼吸器外科教授)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2016-10-26

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ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子を有する肺癌は,2007年に間野らにより発見された。ALKの融合相手としてはEML4が最多であるが,ほかにもKIF5B,TFG,KLC1などが報告されている。これらの融合相手は二量体化に関わるcoiled-coilドメインを有しており,このため,ALKは恒常的に二量体化し活性化すると考えられている。ALK肺癌は肺腺癌患者の約5%にみられ,EGFR変異やKRAS変異とは排他的関係にある。また,非喫煙者や若年者で頻度が高く,形態学的には篩状構造や印環細胞の存在するものに高頻度である。ALK肺癌はALKからのシグナルに依存して生存・増殖しているため,ALKチロシンキナーゼ阻害薬に高い感受性を有する。
わが国では,2012年にクリゾチニブが,2014年にアレクチニブが承認された。このうちクリゾチニブは,それぞれ既治療および未治療ALK肺癌患者を対象としたPROFILE 1007と1014試験において,化学療法と比して無増悪生存期間を有意に延長した。しかし,クリゾチニブに対する獲得耐性は不可避であり,通常10カ月程度で腫瘍は再増殖を始める。耐性機序として,ALK遺伝子の二次変異や,ほかのキナーゼの活性化によるバイパス経路が報告されている。
第2世代ALK阻害薬と呼ばれるアレクチニブやceritinib(日本未承認)は,二次変異を有するALK肺癌の多くにも抗腫瘍効果を示していることから,新しい治療アルゴリズムが検討されている。

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