成人発症スティル病(adult onset Still’s disease:AOSD)は,発熱,関節痛,定型的皮疹を有する炎症性疾患である。原因は不明であるが,マクロファージの活性化によりIL-6やIL-18などの炎症性サイトカインの上昇や血清フェリチンの増加がみられ,肝脾腫や全身のリンパ節腫脹も認められる。2010年の厚生労働省(厚労省)班の調査では,患者数は4760名,発症のピーク年齢は46歳,男女比は1:2.57と女性に多い。難病指定には,診断基準を満たし重症であることが必須となった。
診断は,Yamaguchiら(文献1)の分類基準による。診断基準の項目は,A. 大項目:(1)39℃以上の発熱が1週間以上続く,(2)関節症状が2週間以上続く,(3)定型的な皮膚発疹,(4)80%以上の好中球増加を伴う白血球増多,B. 小項目:(1)咽頭痛,(2)リンパ節腫脹あるいは脾腫,(3)肝機能障害,(4)リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性,C. 除外項目:(1)感染症,(2)悪性腫瘍,(3)膠原病,であり,大項目の2項目以上を含む総項目数5項目以上でAOSDと診断する。ただし,除外項目は除く。
重症度分類は,(1)漿膜炎,(2)DIC,(3)血球貪食症候群,(4)好中球比率増加,(5)フェリチン高値,(6)著明なリンパ節腫脹,(7)ステロイド抵抗性,の7項目の合計スコアが2点以上を中・重症とする((1)と(4)~(7)が各1点,(2)および(3)が各2点)。
詳細に関しては,厚労省の指定難病に関するHPに記載されているので,参照されたい。
1) Yamaguchi M, et al:J Rheumatol. 1992;19(3):424-30.