妊娠中の母体・胎児のリスクを考慮し,妊娠前には関節リウマチの疾患活動性を最小限にすることが望ましい(6カ月以上低疾患活動性以下の安定・維持など)。以後は,これまでの報告(文献1~3)などからDMARDsとしてサラゾスルファピリジン(妊娠3カ月前より葉酸5mg/日併用),タクロリムスは考慮できる。ステロイドは,プレドニゾロン(PSL)換算0.3mg/kg/日以下での使用が望ましいが,妊娠高血圧症・妊娠糖尿病などとの関連も報告されていることから,PSL 5~10mg/日以上が必要な場合は,他薬剤の併用による減量を検討したほうがよいであろう。
鎮痛薬は,アセトアミノフェンが望ましいが,NSAIDsを妊娠初期~中期(妊娠32週まで)に考慮できる(添付文書要確認)。疾患活動性の十分な改善が見込めない症例は,生物学的製剤を検討する場合もある。抗TNF-α阻害薬以外は疫学研究の報告は少なく,抗体製剤は胎盤移行率が高く,エタネルセプト,セルトリズマブ ペゴルが望ましいかもしれない。可能ならば中断が望ましいが,使用継続は症例ごとに検討が必要である。抗TNF-α阻害薬を使用した場合,新生児は出生6カ月以上は生ワクチンの接種を控える必要がある。
上記の内容は現段階での知見であり,治療の際には,最新情報を用いて検討して頂きたい。
1) Soh MC, et al:Rheumatology (Oxford). 2015;54(4):572-87.
2) 伊藤真也, 他, 編:薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳. 第2版. 南山堂, 2014.
3) 日本産科婦人科学会, 他, 編:産婦人科診療ガイドライン─産科編2014. 日本産科婦人科学会, 2014.