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陥入爪・巻き爪の治療 【陥入爪では保存的治療の選択肢が増加,巻き爪変形では物理的爪矯正法が一般化】

No.4785 (2016年01月09日発行) P.49

本多孝之 (岩手医科大学形成外科)

柏 克彦 (岩手医科大学形成外科特任教授)

小林誠一郎 (岩手医科大学形成外科教授)

登録日: 2016-01-09

最終更新日: 2016-10-26

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陥入爪では,陥入した爪の角(爪棘)による物理的な刺激に起因して,軟部組織に肉芽を形成したり感染を生じたりすることで,疼痛や滲出液を認め,腫脹を招来することにより軟部組織への刺激がさらに増強するという悪循環に陥る。
従来,陥入した部分の爪甲と爪母を切除し,爪幅を狭くする外科的治療が一般的であったが,術後の疼痛や爪幅が狭くなるという整容的な欠点から,最近では保存的な治療が選択されることが多くなった。急性期に行われる比較的簡便な方法としては,陥入した爪甲と周囲軟部組織の間に綿花の細片を挾む方法が古くから用いられている。そのほか,テープの牽引により陥入した軟部組織を爪甲の角から引き離す方法や,陥入した側爪郭部にチューブをかぶせる方法なども報告されている。現在では保存的治療によりコントロールが難しい場合や,コンプライアンスが不良で保存的治療が困難な場合に,手術が選択される傾向にある。
また,爪甲の高度な彎曲による巻き爪変形に対しては,従来,手術以外に有用な手段がなかったが,1999年に町田ら(文献1)が弾性ワイヤーを用いて爪変形を矯正する治療法を報告して以来,同様の考え方による各種の物理的な爪矯正法が報告されるようになってきた。
現在では,クリップ型で脱着が容易な製品も市販されるようになり(文献2),陥入爪の治療は,爪変形への根本的治療法も含め,進展がみられている。

【文献】


1) 町田英一, 他:日足の外科会誌. 1999;20(1):S87.
2) 田畑伸子, 他:靴医学. 2010;24(2):105-10.

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