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遠位弓部大動脈瘤に対する開窓型ステントグラフト  【セミオーダーシステムの採用により,開窓部の位置のコントロールが可能に】

No.4792 (2016年02月27日発行) P.51

土肥静之 (:順天堂大学心臓血管外科准教授)

天野 篤 (順天堂大学心臓血管外科教授)

登録日: 2016-02-27

最終更新日: 2016-10-26

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胸部ステントグラフトは,その低侵襲性ゆえに症例数は増加の一途をたどっている。胸部下行大動脈瘤において既に第一選択となりつつあるが,それより中枢の遠位弓部~弓部大動脈瘤に対しては,頸部三分枝が存在することでステントグラフトでの治療が難しくなり,開胸での弓部大動脈全置換術がいまだ第一選択である。
そのような症例に対応すべく,2012年12月に初の日本製ステントグラフトNajuta(Kawasumi Laboratories社)が薬事承認された。Najutaはステントグラフトの一部に開窓部を設け,分枝血流を維持することができる,遠位弓部大動脈瘤に適応を持つステントグラフトである。患者の術前画像診断に基づいて血管の屈曲パターンを分析,1500以上存在する規格の中から選択,使用するセミオーダーシステムを採用し,大動脈内でのステントグラフトのローテーションを制御することで,開窓部の位置のコントロールが可能となっている。
開窓部を作成する位置は,1000例を超える弓部大動脈形態を解析した計算式に基づくものであるが,その計算式に合わないような複雑な症例には,3Dプリンターで立体血管モデルを作製し,実際に拍動流下で留置して検証してから使用する方針をとっている。
このような方法で作成された開窓型ステントグラフトNajutaは,遠位弓部大動脈瘤に対するステントグラフト治療の安全性と確実性を高いレベルで両立させている。

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