株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

SAPの利用と今後について  【低血糖の回避と適切な血糖コントロールが可能に】

No.4797 (2016年04月02日発行) P.51

小須田 南 (日本大学糖尿病・代謝内科)

石原寿光 (日本大学糖尿病・代謝内科主任教授)

登録日: 2016-04-02

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

英国国立臨床評価研究所は,11年ぶりに成人1型糖尿病の診療ガイドラインを改訂し,HbA1cの目標値を7%から6.5%以下とした。近年のインスリンポンプ機能の向上で低血糖を回避しやすくなったためである。
日本でも2014年にSAP(sensor augmented pump)が発売された。SAPの導入で患者の低血糖に対する不安が緩和されたとの報告(文献1)もあり,従来のシステム以上に低血糖を回避し最適な血糖コントロールを得ることが期待される。また,自分自身の血糖値をモニタリングしたいと考える患者は多く,パーソナルCGM(continuous glucose mon--itor-ing)としての利用を契機に,これまでポンプ療法に抵抗のあった患者にポンプ療法を紹介・提案する手助けとなると考えられる。
最近の研究では,SAPより人工膵臓(closedloop artificial pancreas)のほうが夜間低血糖の予防に優れていると報告(文献2)された。保険点数は従来のインスリンポンプが2500点/月に対し,SAPは3230点/月である。自己負担額(3割)は従来型が1万9740円/月に対し,SAPで1カ月(30日)間CGMを使用した場合は3万1830円/月になる。コストや複雑さなどの問題点が解決され,日本でもこれらの治療法(closed-loop artificial pancreas)が導入されることが望まれる。

【文献】


1) Bergenstal RM, et al:N Engl J Med. 2010;363(4):311-20.
2) Ly TT, et al:Diabetes Care. 2014;37(8):2310-6.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top