COPDは慢性の進行性疾患であり,その増悪はQOLや呼吸機能を低下させ,生命予後に多大な影響を及ぼす。このため,安定期COPD患者の管理において,増悪の予防に努めることがきわめて重要であり,禁煙の徹底と気管支拡張薬を中心とした薬物療法が行われる。
近年,長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と同等もしくはそれ以上の自覚症状や呼吸機能の改善効果を示す長時間作用性β2刺激薬(LABA)の登場により,LAMAとLABAが並んでCOPDの第一選択薬として使用される(文献1)。新規のLAMA単剤としてウメクリジニウム(エンクラッセR)やアクリジニウム(エクリラR)が上市された。LAMA/LABA配合薬では,インダカテロール+グリコピロニウム(ウルティブロR)に加え,新たにビランテロール+ウメクリジニウム(アノーロR)やチオトロピウム+オロダテロール(スピオルトR)が処方可能である。これら配合薬は,LAMA, LABA各単剤治療と比較して肺機能,症状やQOLの改善が認められている(文献2)。また増悪を繰り返す症例では,LAMA,LABA単剤および両配合薬に加え,吸入ステロイド(ICS)の追加により増悪抑制効果が認められている(文献1)。
近年では,喘息とCOPDが併存するオーバーラップ症候群(asthma COPD overlap syndrome:ACOS)が注目され,ACOSと考えられる患者ではICSを基本とし,LAMAやLABAが追加される(文献1)。
1) Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD:Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD), 2016.
2) Oba Y, et al:Thorax. 2016;71(1):15-25.