抗IL-13抗体として開発されたlebrikizumabは,治療下においても気道可逆性が残存する中等症から重症喘息患者において,FEV1に有意な改善を認め,特にperiostinが高い群で効果が高いことが示された(文献1)。わが国においても喘息に対する抗IL-13抗体の治験が行われている。また,IL-4とIL-13はIgE産生や気道分泌,気道過敏性亢進を惹起するサイトカインであるが,これら両サイトカインの受容体となるIL-4Rαのリコンビナント抗体についてもわが国で臨床試験が行われている。米国で行われた第2相試験では,FEV1の改善効果とACQ(Asthma Control Questionnaire)の結果が悪い群でのコントロールの改善効果が認められている。
一方,プロスタグランジン D2(PGD2)に対する受容体であるchemoattractant receptor-homologous molecule on Th2 cells(CRTH2:CD294)は,Th2細胞以外にも好酸球や好塩基球/肥満細胞に高発現していることからアレルギー性炎症に重要な役割を果たしていると考えられ,CRTH2拮抗薬の臨床試験が計画されている。さらに,分子標的治療薬ではないが,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)/長時間作用性β2刺激薬(long-acting beta antagonists:LABA)に長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonists:LAMA)を加えたトリプル吸入薬の臨床試験も予定されている。
1) Corren J, et al:N Engl J Med. 2011;365(12):1088-98.