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糖尿病診療ガイドライン2016 【膨大なエビデンスに基づき,時流が反映された最新の治療指針】

No.4815 (2016年08月06日発行) P.46

宇都宮一典 (東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授)

登録日: 2016-08-06

最終更新日: 2016-10-30

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日本糖尿病学会では『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』を診療指針の最上位に置き,これをもとに『糖尿病治療ガイド』や『糖尿病食事療法のための食品交換表』など,多くの解説書を出版している。本書は3年ごとに改訂されてきたが2016年5月,『糖尿病診療ガイドライン 2016』(文献1)として上梓された。
今回の改訂では,各項目にクリニカルクエスチョン(CQ)を設け,推奨グレードを策定委員会の投票で決定し,合意率も明記されている。どの項目も,膨大な文献を引用してCQに回答する形で解説されており,引用した文献はすべて,アブストラクトテーブルに示されている。また,日本老年医学会との合同委員会による「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を掲載したことは注目される。今回「科学的根拠に基づく」をはずしたのは,すべてのCQに十分なエビデンスがそろっていないことに配慮したものであるが,現時点で最新の情報に基づいた診療指針と言えるであろう。
わが国の2型糖尿病は,病態が欧米化しているのみならず,患者の年齢が若年化かつ高齢化しており,きわめて多彩な要因を背景としている。そのため,糖尿病診療は患者が持つ諸条件に合わせた個別化が求められている。このことは,同時に医療者の力量が問われることにもなる。本書がわが国の糖尿病医療のあるべき姿に寄与することを期待したい。

【文献】


1) 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン 2016. 南江堂, 2016.

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