「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(会長=高久史麿日本医学会会長)は9日、がん領域や高齢者医療における漢方薬使用を普及するため、エビデンス蓄積に向けた研究を推進すべきとする提言骨子をまとめた。3月に正式な提言書を公表し、関係省庁に提出する。
同研究会は、日本東洋医学会と日本漢方生薬製剤協会(日漢協)が昨年8月に設立。「がん領域」「高齢者医療」「品質確保と安定供給」について各1回研究会を開催し、その成果が9日に都内で開かれたフォーラムで報告されるとともに、提言骨子が取りまとめられた。
提言骨子では、がん領域における漢方薬の使用について、分子標的薬をはじめとする抗がん剤の副作用対策と相互作用などの安全性データを蓄積するとともに、バイオマーカーを開発する必要性を強調。高齢者医療では、西洋薬の副作用対策や多剤投与対策としての有用性を検討すべきとしている。
包括支払制度(DPC)データの分析などにより、漢方薬使用による入院短縮効果などを示す報告が複数なされていることから、医療経済学的研究の推進も記載。また、財務省などが漢方薬の“保険外し”を繰り返し主張していることを受け、医療保険制度上での位置づけの重要性も訴えている。
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