「心臓ポンプ機能低下」と「うっ血」が証明されれば「心不全」と診断できる1)。
右心不全の原因には,①右室梗塞による「右室収縮の低下」,②急激な三尖弁逆流による「右室容量負荷増加」,③肺塞栓症や原発性肺高血圧症による「右室後負荷増大」,④心タンポナーデや収縮性心外膜炎による「右室拡張障害」,などがある1)。
肺に十分な血液が送り出せず右心室は拡張し,三尖弁逆流で右心房圧は上昇する。静脈還流がうまくいかず末梢静脈に「うっ血」をきたす。肝臓や脾臓が腫大し,うっ血肝から黄疸や肝機能障害,さらに下腿浮腫をきたす。腸管は浮腫状になり食欲不振や嘔吐がみられる。上大静脈から右心房へ静脈還流がうまくいかず,頸静脈怒張,顔面浮腫がみられる。静脈還流が減少すれば心拍出量が低下する(心臓のポンプ機能低下)。
右室容量負荷や圧負荷により,心エコーで心室中隔形態異常(septal bowing)がみられる。胸部X線で,肺血流減少に伴う肺血管影減少,肺野は明るく,肺高血圧をきたせば肺動脈幹・肺動脈中枢側拡大と末梢側縮小化(centralization),肺血栓塞栓症では局所的肺血流減少像(Westermark sign)や肺動脈中枢部拡張と末梢の急激な先細り(knuckle sign)がみられる。
【文献】
1) 日本循環器学会, 他:急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版). 2011. [http://www.j-circ.or.jp/ guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf]
【解説】
加藤 徹 国立病院機構栃木医療センター臨床研究部 部長/獨協医科大学特任教授
野出孝一 佐賀大学循環器内科教授