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心房細動の除細動を電気ショックで行う前に抗凝固薬投与が必要なのはなぜ?【左心耳内の血栓の遊離を防ぐ】

No.4843 (2017年02月18日発行) P.63

岩崎雄樹 (日本医科大学循環器内科講師)

登録日: 2017-02-14

最終更新日: 2017-02-14

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  • 心房細動の除細動を電気ショックで行うときは,2~3週間前から抗凝固薬の投与が必要と言われていますが,なぜでしょうか。今まで停滞していた血流がより強い正常血流になって血栓の流出を促すからでしょうか。

    (質問者:高知県F)


    【回答】

    心房細動は脳梗塞発症の原因として広く知られており,心房細動患者の血栓塞栓症のリスク評価に,わが国ではCHADS2スコアが広く用いられています。CHADS2スコアでは,心不全,高血圧,年齢75歳以上,糖尿病,脳梗塞(一過性脳虚血発作含む)・血栓塞栓症の5つの危険因子のスコア(脳梗塞・血栓塞栓症は2点)を計算します。点数が高いほど脳梗塞・血栓塞栓症のリスクが高くなっていきます。CHADS2スコアが0点であっても,年間の脳梗塞・血栓塞栓症の発症リスクは1.9%となります。

    心房細動の非薬物治療として電気的除細動がありますが,電気的除細動で心房細動が洞調律に復帰することにより心房収縮が改善し,左心耳血流も増加します。もし左心耳内に血栓が存在した場合,心房収縮の改善に伴い左心耳内の血栓が遊離し,脳梗塞・全身血栓塞栓症を生じる危険性が高くなります。電気的除細動という治療介入による合併症を確実に予防する必要があり,CHADS2スコアが0点であっても除細動前の抗凝固療法は必須となります。

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