(質問者:千葉県K)
一般的に,会話当事者が会話の内容自体を録音することを禁止ないし規制する法律は制定されていません。録音自体の機能は,要するに会話当事者の記憶装置にすぎないものであり,仮に,相手の会話当事者に無断で録音したとしても,直ちには法律上の問題は発生しません。
録音自体が法律上問題になるとすれば,たとえば盗聴の場面です。盗聴は,会話当事者以外の第三者が,会話当事者の許可を得ないで会話の音声を録音することを言います。仮に,この盗聴した録音内容が裁判上で提出されれば,相手方は違法収集証拠として,その証拠能力を否定する主張をすることがありますが,証拠能力が否定されない限り,録音内容自体は取り調べの対象となります。
ご質問は,外来診療中に患者が無断で録音をした場合の扱いですが,この場合は,上述の規制する法律がないということで黙認するのではなく,病院ないし医院の施設管理権に基づいて録音禁止を求めることが可能と思われます。施設管理権というのは,施設の管理者,たとえば施設の所有者が,自己の所有する施設を包括的に管理する権利を意味するとされています。
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