持効型インスリンの登場により,2型糖尿病治療において1日1回のインスリン注射は,糖尿病専門医でなくても外来で開始できるようになった
持効型インスリンの選択肢として従来のインスリングラルギン,インスリンデテミルのほか,インスリンデグルデクが加わった
今後も新たな持効型インスリンの登場が待たれ,1日1回の持効型インスリンの投与によりいっそう効果的で安全な治療が可能になることが期待される
2型糖尿病の治療において,経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な場合,インスリン注射の導入が必要である。インスリン治療を開始することは,患者にとっても,それを説得する主治医にとっても負担感があるケースが多い。しかし,インスリン導入が遅れることで血糖コントロール不良期間が長くなれば,将来になって糖尿病合併症が発症するリスクも高まり,インスリン注射よりはるかに大きな負担を抱えることになりかねない。経口糖尿病治療薬で血糖コントロールが不十分な症例に対し,1日1回の持効型インスリンを投与する,いわゆるBOT(basal supported oral therapy)はインスリン治療の開始方法として比較的受け入れられやすいため,糖尿病専門医に限らず多くの医師によって行われている処方である。グラルギン(ランタス1397904493),デテミル(レベミル1397904493)などの持効型インスリンはインスリン導入の負担感を減らす薬剤であった。しかし,1日1回投与では十分に安定した作用動態が得られない症例もある。
そこで,低血糖発現リスクの低減,作用が確実に24時間持続すること,臨床効果にばらつきがないことを目標にインスリンデグルデク(トレシーバ1397904493 )が開発された。さらには,この持効型インスリンデグルデクと超速効型インスリンであるインスリンアスパルトを7:3の割合で含有するライゾデグ1397904493 配合注〔一般名:インスリンデグルデク(遺伝子組換え)・インスリンアスパルト(遺伝子組換え),以下,ライゾデグ〕も開発され,製造承認を得た(未発売)。
本稿では,経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な場合に,1日1回のインスリン注射を開始する際の新たな選択肢となる新規持効型インスリンの特徴や臨床試験成績,実臨床での使い方,また,登場の待たれる新規持効型インスリンについて述べる。
残り6,176文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する