機能性消化管障害という疾患名にあまり馴染みのない読者も多いかもしれない。消化管に明らかな器質的病変がないにもかかわらず,消化管症状を呈する疾患であり,機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)などがその代表である。この疾患は患者が多いこと,生活の質(QOL)の低下をきたすこと,ストレスと関連する病態であることなどから,急速に注目されはじめている。近年,この疾患の病態,診断,治療に関する研究が進歩し,日本消化器病学会からFDとIBSに対する優れたエビデンスベースのガイドラインが刊行された。このガイドラインが普及して,機能性消化管障害への啓発が進み,多くの地域で標準的治療が行われることが期待される。
1 GRADEシステムの仕組みと意義
島根大学医学部第2内科教授 木下芳一
島根大学医学部第2内科講師 石村典久
島根大学医学部第2内科 相見正史
2 FDガイドラインを読み解く
兵庫医科大学内科学消化管科主任教授 三輪洋人
3 IBSガイドラインを読み解く
東北大学大学院医学系研究科行動医学分野教授/同大学病院心療内科教授 福土 審