世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」(5月31日)を前に、受動喫煙防止対策の強化を求めるイベント「タバコフリーサミット」が5月27日、都内で開かれた。
たばこのない東京五輪をテーマにしたシンポジウムでは、厚生労働省健康局の正林督章健康課長が「(受動喫煙防止対策は)東京だけでやれという声を国会議員からも聞くが、WHOは全国レベルでの屋内禁煙化を求めている」として、あくまで健康増進法改正による対策を進める姿勢を強調。がん研究会の野田哲生がん研究所長は「受動喫煙による健康影響はゲノムレベルでも明らかだ」として、たばこ政策における「エビデンスと政策のギャップ」を問題視した。
東京都医師会の尾﨑治夫会長は、屋内禁煙の実現に向けた課題として、「日本は屋外禁煙を定めた条例が多い。現実論として、当座は屋外で喫煙できる環境を確保しなければ(喫煙者の反感を買うので)法整備は難しいのではないか」と提起。産婦人科医の宋美玄氏は「今の喫煙所は木や看板で仕切っているだけのものが多く、働く妊婦を含む従業員が煙を受けてしまう」として、煙が外に漏れない喫煙室の設置を要望した。
イベントには東京都の小池百合子知事も出席し、罰則付き受動喫煙防止条例を制定する姿勢を強調。条例制定に当たっては「子どもを守る視点が重要」とし、飲食店、公共施設のほか、子どもが同乗する自動車内や家庭での禁煙化も進める考えを示した。