日本慢性期医療協会の武久洋三会長は6月22日の定例会見で、日本呼吸器学会が4月に公表した『成人肺炎診療ガイドライン2017』で高齢者肺炎について積極的治療を控える選択肢が明示されたことに対し、「感染症は治療可能な疾患。どんどん慢性期に回してほしい」と違和感を示した。
同ガイドラインは高齢者肺炎のうち院内肺炎(HAP)/医療・介護関連肺炎(NHCAP)について、誤嚥性肺炎を繰り返す患者や疾患終末期あるいは老衰状態の患者に対しては「個人の意思やQOLを考慮した治療・ケア」を優先するという判断基準を明示し、話題となっている。
これに対し武久会長は、「高齢者肺炎は低栄養や脱水、電解質異常、貧血などの要因が跳び箱のように重なっていて、一番上に誤嚥性肺炎がある」との考え方を改めて主張。「肺炎だけを治そうとして抗生物質を投与しても治らないのは当たり前で、アルブミンや水分を適正に管理するなど(“跳び箱”の)下の状態を同時に改善していかないといけない。また嚥下機能を回復させるリハビリも必要になるが、臓器別専門医の先生方がいる大きい病院ではこうした機能がないので、抗生物質の投与に頼ることになる。治る病気は治してあげるのが医師として当然の姿。こういう患者がいたらどんどん慢性期病院に回してくれれば、きちんと治療して差し上げる」と述べた。