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CASE11 A群溶連菌(GAS)敗血症と流産/発熱と腹痛を初発とした妊婦(16週)[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.42

高市文佳 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院臨床検査科細菌検査主任)

伊集院昌郁 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院産婦人科)

須郷慶信 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院産婦人科医長)

佐久間初代 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院臨床検査科)

岡部紘明 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院臨床検査科部長)

蜂谷將史 (国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院院長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    31歳の女性。保育園の非常勤保育士。9歳と4歳の男児がいる。既往歴,アレルギー歴,特記事項はない。4歳の男児が5日前に咽頭炎で受診したが,現在は治癒している。

    【現病歴】妊娠16週(経妊2回,経産2回)。22時頃腹痛が出現し,かかりつけの助産院を受診したが,痛みが強く,提携のクリニックで子宮収縮抑制薬を投与するも改善せず。切迫流産の診断で,クリニックから当院に搬送された。搬送時,38.5℃の発熱,規則的な子宮収縮を認めた。明らかな筋腫・卵巣囊腫なし。消化器症状なし。食事で気になるものはない。来院6時間後,自然流産に至った。入院時,2病日の各種検査値を表1に示す。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は,規則的な子宮収縮から切迫流産の診断となり,原因として母体発熱があることから感染が疑われた。入院時の検査所見では,白血球数の上昇とCRPの軽度上昇のみであり,明らかな感染徴候を認めなかった。感染の検査,治療はどうするべきであろうか。切迫流産の原因として,絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis;CAM)が疑われるが,発熱以外にそれを示唆する所見はなかった。CAMは上行性感染が原因であることが多いが,本当に上行性感染だったのであろうか。本人の職業や家族の感染歴も参考にすべきか。感染の起因菌を特定するために,血液培養と帯下培養を採取し,セフメタゾールナトリウムの点滴を開始した。

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