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CASE15 無症状で変化のない副腎腫瘍/15年間無症状で経過している副腎腫瘤のある57歳女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.56

山田梨絵 (社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院内科医長)

山北宜由 (社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院病院長/内科・消化器内科)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    57歳の女性。
    【既往歴】51歳時,甲状腺乳頭癌で手術。脂質異常症あり。【家族歴】特になし。
    レボチロキシンナトリウム100μg/日,ロスバスタチンカルシウム2.5mg/日内服中。
    15年前より直径約3cm大の右副腎腫瘤を指摘されており,初診時の安静空腹時の採血検査ではコルチゾール,アルドステロン,カテコールアミンなど明らかなホルモン過剰所見を認めなかった(血漿カテコールアミン基礎値については表1)。以後毎年CTで経過観察されていたが著変なく,8年前より通院中断していた。健診の腹部エコーで腫瘤像を指摘され再受診。ここ数年で肥満傾向ありBMI 26,家庭血圧は収縮期130~140mmHg程度だが,外来受診時に140~160mmHgまで上昇することもあった。明らかな動悸,発汗,頭痛などの症状なし。中心性肥満,牽牛肩,皮膚線条などのクッシング徴候なし。単純CTでは右副腎に3cm大の腫瘤を認めた。内分泌的検査ではコルチゾールやアルドステロンの明らかな過剰なし,血漿カテコールアミン基礎値はやや上昇をみるが,基準範囲上限3倍以内であった。


    検査値のどこに悩んだか

    15年前より直径3cm大の副腎腫瘤を認め,その大きさから手術も含めた精査加療を考慮すべきではあったが,ほぼ無症状であった。軽度肥満や脂質異常症,HbA1c(NGSP)6.4%と耐糖能障害もあり,サブクリニカルクッシング症候群の可能性も否定できない。血圧もさほど高くなく,スクリーニングの血漿カテコールアミン値も明らかな高値ではない。

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